特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料への移行について
厚生労働省は2024年6月1日より診療報酬を改定します。本改定に伴い、これまでクリニックで算定していた「特定疾患療養管理料」を廃止し、個人に応じた療養計画に基づき総合的な治療管理を行う「生活習慣病管理料」へ移行するよう指示があり、生活習慣病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症)を主病とする患者様に総合的な治療管理をするため「生活習慣病管理料」を算定させていただくことになりました。
国が指定する「生活習慣病療養計画書」を作成することで、患者様と達成目標を共有し、より良い治療につなげてまいります。
また、療養計画書作成にあたり、患者様の署名が必要になりますので、ご理解ご協力のほど宜しくお願い致します。
生活習慣病とは
生活習慣病とは、「健康的と言えない生活習慣」が関係している病気のことです。逆に言えば、生活習慣私大で発病を防ぐことができる病気とも言えます。また、発病した後の経過は、生活習慣によって大きく左右されることが少なくありません。
病気の原因としてわかりやすいのは、①細菌やウイルスなどの「病原体」や「有害物質」などです。
また、②なにかの病気になりやすい体質が先祖から引き継がれる「遺伝的な要素」も病気の発症や進行に影響します。
そして、もう一つ、③食習慣、運動習慣、休養のとり方、嗜好(飲酒は喫煙)などの「生活習慣」も、糖尿病、高血圧症、がん、脳卒中、心臓病など多くの疾病の発症や進行に深く関わっていることがわかっています。
生活習慣病とは、これら三つの要素のうち、③の生活習慣にかかわる要素が強い病気をまとめて言い表した総称となります。
かつて「生活習慣病」は「成人病」とよばれていました
「生活習慣病」は、かつては「成人病」と呼ばれていました。しかし、これらの病気は成人でも生活習慣の改善により予防が可能で、成人でなくても発症の可能性があることがわかってきたのです。
以前は病気の「二次予防」、つまり、病気の早期発見や早期治療に重点がおかれ、対策が立てられてていました。
しかし、それに加えて、生活習慣の改善を中心にした「一次予防」、つまり、健康増進や発病予防に重点を置いた対策を推進するために、新たに導入された概念が生活習慣病といえます。
生活習慣病の経過と対策について
生活習慣病の多くは、発病してもかなり進行するまで自覚症状がほとんど現れないという共通点があります。
そのため健康診断などで生活習慣病のリスクを指摘されたり、さらには検査結果が病気の診断基準に達するほどの異常値であっても、それを自覚しにくいのです。そのため、予防や治療というアクションを起こせない、または起こさないひとがすくなくありません。
自覚症状が現れないとは言っても、「健康的と言えない生活習慣」の影響は確実に身体の負担として蓄積されていきます。
そして、やがては心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、脳出血などの、より深刻な病気を引き起こします。
結果として、QOL(quality
of
life.生活の質)が低下し、健康寿命(介助や介護を受けずに生活できる期間)が短くなってしまったり、寿命も短くなってしまうという結果を招いてしまいます。
一方で、生活習慣病は、国民医療費(一般診療医療費)の約3割、死亡者数の約5割をしめていて、また、要支援者および要介護者における介護が必要となった主な原因についても、脳血管疾患をはじめとした生活習慣病が3割を占めるとともに、認知症や、高齢による衰弱、関せる疾患、骨折・転倒で5割を占めるなど社会的にも大きな課題となっています。
生活習慣病は、肥満・メタボリックシンドロームを基盤として発症・進行することが少なくありません。その場合、減量することが予防・治療の第一歩となります。
その一方で、食事の量やバランスがよくないため栄養不足、運動不足、加齢といった影響で起きてくるサルコペニア、あるいはフレイルといった状態では、むしろ体重を増やした方がいい場合もあります。
生活習慣病の予防や治療では、単に薬物療法だけにたよるのではなく、一人ひとりのケースに合った生活習慣の改善が必要になってきます。その場合、個人で頑張るだけでなく、医師や専門家にサポートしてもらうことも効果的に改善する方法になります。