咳喘息

長引く咳の原因として考えられる疾患は数おおくありますが、その中でも結構多いのがこの咳喘息です。
咳にはいろいろなパターンがあり、急性の咳・慢性の咳、湿った咳(湿性咳嗽)・乾いた咳(乾性咳嗽)などで分けられるのですが、咳喘息は、慢性で乾いた咳の部類になります。
その中で、レントゲンで異常がなく、慢性の(長引く)、乾性咳嗽(乾いた咳)の原因としては48%も占めているのが「咳喘息」なのです。

 

 咳喘息の特徴

咳喘息は風邪をきっかけに発症することも多いようです。風邪をひいて、症状が治まってきたにもかかわらず咳だけが3週間以上も続くような場合は咳喘息の可能性があります。
また、男女の比率では女性のほうが多く、非喫煙者よりも喫煙者のほうが多い傾向にあります。咳喘息はアレルギー性疾患ですので、アレルギー性鼻炎などの他のアレルギーを持っている人が罹りやすいです。

 主な特徴

長引く咳が2~3週間以上、1年以上続く場合もある
発熱や痰などの症状はほとんどない(風邪がきっかけで咳だけ続く場合もある)
喉にイガイガ感を伴うこともある
過去にも同じような咳に悩まされた(繰り返す咳の既往がある)
全く症状がない時期(または時間帯)がある
夜にひどくなる、咳で目覚める、咳で眠れない
喫煙や受動喫煙がある(これがきっかけになることもあります)
室内犬や猫などのペットを飼っている
ゼーゼー、ヒューヒューなどの呼吸音や呼吸困難などはない

 

 咳喘息の診断

咳喘息の症状は風邪などと似ているため、診断は医師でも難しいと言われています。
咳喘息の診断に大切なのはまず問診です。自分の咳の状態をなるべく詳しく医師に伝えるようにしてください。咳の出初めはいつだったか、咳の出る状況か、ひどくなる時間帯、その他の症状があれば伝えてください。また、上記の咳喘息の特徴などを参考にして、気になることを伝えてください。
また、市販の風邪薬にも咳を止める作用がありますが、咳喘息だと効果がありません。そういった事も診断の手がかりになることがあります。
医師はこの問診で得た情報と、その後の検査結果などを基にして病気を診断していきます。

 咳喘息の診断基準

1 ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音のない咳が8週間以上持続する
2 今までに喘息になったことがない
3 8週間以内に、気道に炎症が起きていない(風邪にかかっていない)
4 気道過敏性の亢進(気道が刺激に対して過敏になっている)
5 気管支拡張薬を使うと症状が改善する
6 咳感受性が亢進していない(アレルギー反応で咳がでる)
7 胸部レントゲン検査で異常を認めない

上の1~7の項目に全て当てはまったときに、咳喘息と診断されます。
また、簡易的な診断基準として、上の1と5を満たすことによって、咳喘息と診断することもあります。

 

 咳喘息の治療

咳喘息の治療は、基本的には喘息の治療と同じで、気管支の炎症を抑えるために薬物治療が行われます。

 吸入ステロイド

吸入ステロイドは、喘息治療の基本的なお薬です。気道の炎症を抑えて、過敏になった気道を正常に戻していく働きがあります。

 気管支拡張薬

気管支を広げる作用があります。咳喘息は気管支が狭くなって咳がでるので、咳を和らげる効果があります。また、空気の通り道が広くなることで、呼吸が楽になります。

 吸入ステロイド+気管支拡張薬

吸入ステロイドと気管支拡張薬が合わさったものもあります。アドエアやシムビコートといった吸入薬があります。

 

 治療にあたって重要なこと

 早期治療

咳喘息は、気管支喘息の一歩手前の状態と考えられており、咳喘息の人の約30%の人が将来、気管支喘息に移行すると言われています。
この病気は、治療が遅れれば遅れるほど、完治が難しくなる病気です。逆に言えば、初期の段階で適切な治療を行えば、完治できるとも言えます。
喘息は、「繰り返し」がキーワードになります。気管支の壁は炎症を起こすと厚くなります。でも炎症が治まれば戻るのですが、ちょっとだけ、厚みが増します。また炎症が起こって壁が厚くなります。治ると、元よりもちょっとだけ厚みが増します。この「繰り返し」の積み重ねによって、慢性化してしまいます。こうして気管支喘息に移行してしまいます。
こうした「繰り返し」が積み重なる前に適切な治療をすることが非常に大切なのです。

 自分の判断で治療を止めない

これはどんな病気や怪我の治療でも同じことなのですが、自己判断で治療を止めないことが大切です。
特に咳喘息は「繰り返し」やすい病気で、気管支の炎症を吸入ステロイドで抑えていたところを、咳が止まったからといって薬を止めてしまうと、気管支の壁だけは厚みを残したままになってしまいます。これは「繰り返し」になりやすいパターンです。

「以前、風邪のあとに咳だけ長引いたけど、自然に治っていた」
「以前から季節の変わり目に咳がでることが何度もあった」

咳喘息は、こういう「繰り返し」がある人に多くみられます。
早い段階で、適切な治療を受け、喘息への移行を防ぎましょう。

 

咳喘息は早期治療

 

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